不動産の価値を鑑定してもらうには誰に依頼すればいい?
保有している不動産の価値を知りたいけど、どう調べればいいかわからないという方は多いのではないでしょうか。不動産の価値を知りたいときは、不動産鑑定というものを行う必要があります。こちらでは不動産鑑定とは一体何か、また不動産鑑定の依頼先や手順、費用について解説しますので、参考にしてください。
不動産鑑定は何のために行うものなのか
不動産鑑定は、国家資格を持った不動産鑑定士が不動産鑑定評価法や不動産鑑定評価基準をもとに、不動産の評価額を算定します。鑑定後に作成される「不動産鑑定評価書」は、裁判や税務関係の手続きなど、公的な場面で使用することが可能です。そんな不動産鑑定は、一体どんなときに行うのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
■ 裁判で遺産相続の分割を決めるとき
遺産相続にあたって行われる遺産分割協議の際に意見が割れてしまうと、裁判になることがあります。裁判で遺産分割を決めるときは、不動産鑑定の評価が必須です。
■ 相続税を安くしたいとき
不動産の相続税は、固定資産税評価額や路線価によって金額が決められます。そこで不動産鑑定を行い、評価の結果を税務署に提出すると、その評価額をもとに相続税が計算されます。その結果、相続税が安くなる可能性が出てくるのです。
■ 離婚して財産分与をするとき
夫婦が離婚することになった場合、2人の財産を分け合う財産分与をしなければなりません。そしてその財産に不動産が含まれるときは、評価額と同等の価値の金銭や現物を、家を出る側に支払うことで財産分与が成立します。のちのトラブルを避けるためにも、必ず不動産鑑定を行って正しい評価額を把握しておくべきです。
鑑定の依頼先と費用は?
不動産鑑定は、不動産鑑定士事務所に依頼します。不動産鑑定の費用体形は、報酬基準型・積み上げ型・定額型の3種類があります。
その中でも、報酬基準型を採用している事務所が多いです。報酬基準型は、基本鑑定報酬額表をもとにして、事務所で独自の基準をつくり、鑑定費用を設定します。つまり、事務所ごとに自由に鑑定費用を決めることができるのです。そのため、どの事務所に依頼するかによって、同じ不動産でも鑑定費用が異なってくることもあります。
また、不動産の種類である類型や、その不動産の評価額によっても鑑定費用が異なり、不動産評価額が高ければ高いほど、鑑定費用も高くなります。実際に鑑定費用は、最低でも20万円ほどかかるところが多いです。
依頼の手順
ここからは、実際に不動産鑑定を依頼するときの手順をご紹介します。
■ 依頼する不動産鑑定士事務所を探して契約する
まずは、不動産鑑定士事務所を探しましょう。最初は、複数の事務所に見積もりを出してもらうことをおすすめします。都合が合えば、実際に事務所を訪問してみて、鑑定士の雰囲気をみるのもいいでしょう。
また、同じ不動産鑑定士でも、遺産相続、財産分与、事業用物件、海外物件、農地、土壌汚染の影響を受けた不動産など、得意分野が異なります。そのため、どんな目的で鑑定を依頼するのか考え、その目的の分野に強い不動産鑑定士を選びましょう。
どこの事務所に依頼するかが決まったら、いよいよ契約です。契約のときは、「依頼書兼承諾書」に署名と捺印をします。この書類を提出したら、契約成立です。
しかし契約して終わりではなく、固定資産税納税通知書、登記簿、公図、住宅地図、地積測量図、道路台帳、ガス配管図、上水道配管図、公共下水道台帳など、さまざまな書類の提出をしなければなりません。
■ 不動産鑑定、評価が行われる
必要書類が揃ったら、鑑定士が実際に不動産のある土地に足を運び、鑑定を行います。鑑定から不動産鑑定評価書が完成するまでは、10日から数週間かかるといわれています。裁判などの予定があって不動産鑑定をすることがわかっている場合は、逆算してなるべく早めに鑑定士に依頼するようにしましょう。
■ 不動産鑑定評価書を受け取る
不動産鑑定評価書を受け取ります。評価書に誤りがなければ取引終了です。また、不動産鑑定書の有効期限は定められていませんが、1年程度が一般的です。1年を超えてしまうと、最初から不動産鑑定をやり直すケースが多くなります。
そしてたとえ1年以内であっても、3ヶ月を越えていると不動産鑑定士に「時点修正の意見書」の作成を依頼しなければいけないことがあります。
ここまで不動産鑑定の概要と、依頼の手順をご紹介しました。不動産鑑定は、遺産相続や財産分与などが必要になったとき、非常に役に立つ法的な鑑定です。決して安くはありませんが、不動産の価値を知りたいときはきちんと不動産鑑定士の方に依頼をして、不動産鑑定評価書を書いてもらいましょう。