不動産売却時にかかる譲渡所得税とは?算出方法と節税ポイントを解説!
不動産を売却して利益が出ると売却益に税金がかかります。しかし、売却益がすべて利益だと考えていると後から思わぬ出費がかさんでしまいます。この記事では、不動産売却時にかかる税金と節税ポイントについて詳しく解説します。しっかりチェックして、不動産売却時の税金について正しい知識を身に付け、上手に節税しましょう。
不動産売却時にかかる譲渡所得税とは?
所有している土地、建物、株式、貴金属などを売って得た利益を「譲渡所得」といい、「譲渡所得税」は売却して得た利益に対してかかる税金を指します。
しかし、譲渡所得税はあくまで呼び方であり、正式な名称は「所得税」と「住民税」です。所得税と住民税の総称で譲渡所得税と呼んでいるだけで、譲渡所得税という種類の税金があるわけではありません。
譲渡所得税の算出方法を確認!
譲渡所得に課税される所得税と住民税は計算式で求められ『譲渡所得税=課税譲渡所得(譲渡所得-特別控除)×税率』で算出されます。計算式にある各項を詳しく見ていきましょう。
■譲渡所得
譲渡所得は『収入金額-(取得費用+譲渡費用)』で求められます。収入金額には不動産を引き渡した後に該当する固定資産税の清算金も収入金額に含まれます。取得費用は譲渡した不動産の購入代金や購入手数料、その他の設備費などを加えた金額です。
もし不動産の購入価格や諸経費が不明な場合は、売却価格×5%で計算して概算取得費とすることもできます。建物のように時間の経過とともに価値が減少する資産の取得費を計算する場合、価値の減少分を差し引く減価償却という計算を行わなければなりません。建物の償却率は建築方法によって変わるので、忘れずに確認しましょう。譲渡費用は、売却時に支払った仲介手数料や契約時の印紙代などかかった費用の合計で計算できます。
■特別控除
一定の条件を満たしていれば課税対象の譲渡所得の負担を軽減する特例があります。売却する不動産の所有期間や買い替えの有無などによって利用できる特例が変わりますが、いずれの特例も節税につながるものばかりです。控除額を引いて残った譲渡所得がゼロ以下であれば税金はかかりません。
■税率
不動産を売却したときの譲渡所得は、所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ税率が異なっており、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら短期譲渡所得となり税率は39.63%、5年を超えていれば長期譲渡所得となり税率は20.315%となります。
不動産売却時の節税ポイント
不動産売却時の節税ポイントは税負担を軽減できる特例を利用することです。住宅ローン控除と併用できるもの・できないものがあるので、それぞれの特徴や軽減措置はしっかり理解しておきましょう。
■3,000万円特別控除
3,000万円特別控除は、譲渡所得のうち最高3,000万円までは税金がかからないというものです。この控除を受けるには住宅や人に特別な要件はありませんが、前年または前々年に同じ控除を利用している場合は受けられません。また、ほかの特例と併用できず、住宅ローン控除とも併用ができないので注意が必要です。
■買換え特例
買換え特例は、元の住宅を売却した価格よりも高い住宅に買い替えた場合に、譲渡所得への課税を次回売却時まで繰り延べられるというものです。あくまで課税の繰り延べなので、次に住宅を売却したときに譲渡所得が出たら、前回繰り延べた分の譲渡所得が加算されて計算されます。
■繰越控除
繰越控除は、不動産を売却した年の所得よりも譲渡損失の方が大きくて相殺しきれない場合、翌年以降の所得からも繰り越して差し引けるというものです。譲渡損失の繰越控除は最長3年間使えるので、売却した年の損益通算と合わせて最長4年間の所得税や住民税が軽減されます。
まとめ
不動産を売却すると売却益に応じて所得税と住民税がかかります。売却価格が大きいと税負担も大きくなることは理解しておきましょう。税金に関する知識は、身に付けないと大きく損をしてしまいます。正しい知識を身に付け、自分でも税金の計算ができるようにしておくとよいでしょう。