不動産査定と不動産鑑定の違い
不動産買取会社に住宅等の売却を依頼する場合、いくらで買い取ってくれるか金額を提示してもらうことを「査定」といいます。一方、不動産の価格を決める際には「鑑定」という言葉もよく耳にします。この2つはそれぞれ意味が違いますが、互いに関連している部分もあります。不動産家売却を検討している人は正しい意味を知っておきましょう。
不動産を売る時に行われるのが査定
不動産の査定とは、簡単にいえばその物件の商品価値を確定するための作業ということになります。戸建て住宅や分譲マンションなどを売却しようとする場合には、必ずこの作業が行われます。査定の基準となる項目は多岐にわたりますが、基本的には一般市民が不動産を購入しようとする際に考慮するものと同じです。
すなわち、広さや間取り、日当たり、建てられてからの経過年数、内外装の傷み具合といった住宅そのものの状況に加え、千葉の物件なら千葉のどのエリアに属するか、最寄り駅までの所要時間、近隣の環境などの要素をもとに売却金額が決定されます。売却金額は後述する鑑定評価額も参考の一つとなります。
査定は、不動産仲介業者に買い手探しを依頼するケースと不動産買取会社に買い取ってもらうケースの、どちらの場合でも行われます。仲介の場合は「いくらで売り出せば買い手が見つかりそうか」という観点で価格を決めるのに対し、不動産買取会社は「自分たちがいくらで買うか」を基準とします。
鑑定はさまざまな目的に利用される
一方、鑑定は不動産の経済価値を決めるために行う作業です。「査定と変わらないではないか」と思われるかも知れませんが、用途がより広いのが鑑定です。査定の場合がもっぱら売買時における価格決定であるのに対して、鑑定の方は不動産にまつわる何らかの経済行為すべてにわたって必要となるものです。
具体的には、相続や贈与、投資などがこれに含まれます。また、個人や企業などが、自ら保有している財産の目録を作っておきたいなどの動機に基づいて行われることもあります。鑑定の具体的な手法には、大きく分けて取引事例比較法・収益還元法・原価法の3つがあります。
このうち取引事例比較法は、市場全体の動向や取引の時期などを勘案しながら、対象となっている不動産と同程度の条件にある不動産の取引状況を参考にしながら価格を決めるというものです。
次の収益還元法では、その不動産を運用した場合に得られるであろう将来の利益を算定し、現在価値と合わせて価格を算出します。そして原価法は仮に今建っている建物を最初から建て直したらどのくらいの費用がかかるのかを計算して価値を評価する方法です。
査定は会社ごとに価格が異なることがある
査定と鑑定では目的や価格の算出方法以外にもう1つ、大きく違う点があります。それは、査定が純然たる私的行為であるのに対して、鑑定は公的性格を持っているということです。 査定はそれぞれの不動産会社が独自に行うものであるため、個々の経営方針や事業形態などにより価格が異なることがあります。
千葉の不動産を売却しようとする場合でも、千葉に拠点を構えて地元に密着した営業を行っている不動産買取会社とそうでない会社とでは、おのずと査定価格が違ってきます。土地付中古住宅を売却する場合でも、そのまま転売するつもりなのかいったん更地にして売り出すつもりなのかによっても価格が異なることがあります。
一方、鑑定は不動産鑑定士と呼ばれる国家資格を持った専門家が、客観的な手続きにのっとって価格を決めます。そのため、商業的な動機に基づいて価格が変動するということはありません。鑑定結果は、都道府県知事が発表する公示地価の決定に使われたりもします。
査定と鑑定は言葉こそ似ていますが、価格決定のもととなる考え方や算出結果の用途は大きく異なります。このうち不動産を売却する際にもっぱら必要となるのは査定の方ですが、鑑定の方は公示地価の推移を調べることで市場の動向を知ったりするのに利用できるため、査定価格が適正かどうかをチェックするための資料として間接的に役立ってくれます。