不動産売買にもクーリングオフがある?
消費者トラブルにおける解決方法として知られる「クーリングオフ」ですが、そもそもどんな制度でどんなものに適用できるのでしょうか。契約してしまった製品やサービスについて契約をなかったことにできるクーリングオフですが、不動産売買に適用することはできるのでしょうか。今回は不動産売買とクーリングオフをテーマにお送りします。
クーリングオフとは
「契約したけど、本当は断れなくて商品を購入してしまった」「訪問販売で買ってしまったものをなかったことにしたい」など、商品やサービスの購入後に後悔したことがある人は多いのではないでしょうか。
クーリングオフとは強引なセールスや高額のサービスを契約した後に、一定の期間内であれば無条件で契約を解約できる制度です。店頭販売や訪問販売で強引にセールスされた後でも、契約を再考し解約できるため、消費者救済の要素が強い制度です。クーリングオフについては特定商取引法によって細かく定められており、対象となる取引も決められています。
例として、訪問購入は原則としてすべての製品が対象となっており、強引な貴金属の販売や布団など、昭和の時代から横行していたような販売についてはもしも購入を約束してしまった後でも解約ができます。クーリングオフは2022年6月には法改正により、従来の解約通知(書面)に加えて電磁的記録も可能となり、メールで連絡を入れることが可能となりました。
解約できる期間は基本的に8日以内と定められていますが、マルチ商法や内職・モニター販売による契約は20日以内とされています。クーリングオフに悩んだときは、消費者センターや消費生活トラブルに対応している自治体の窓口などに相談することがおすすめです。
不動産売買の世界でもクーリングオフは適用されるのか
さまざまな商取引が対象となるクーリングオフですが、不動産売買に関しては対象となるのでしょうか。結論からいうと、不動産売買についてもクーリングオフの対象です。宅地建物取引業法によって定められている契約後であっても、通常のクーリングオフ制度と同様に8日以内に破棄を申し出れば契約を無効にできます。
しかし、気を付けるべき点はすべての不動産売買が対象となるわけではない、という点です。個人間の売買ではクーリングオフ制度は適用できず、宅地建物取引業を介している不動産売買でなければ対象とならないのです。不動産売買は非常に高額な商取引であり、クーリングオフの条件に該当しているのかどうか調べたうえで契約を交わす必要があります。
一方で、もしも宅地建物取引業に該当しているのであれば疑問のある契約を解約できます。後悔しない契約のためにも事前にクーリングオフ制度のしくみを充分に把握しておくことが重要です。
適用対象の条件は売主も把握しておくべき?
不動産売買については先にも触れましたが非常に高額の商取引です。取引に関する税金や登記手続きも踏まえると、人生の中でもトップクラスに大きな金額を動かすことになります。不動産売買の売主についてもクーリングオフ制度について、充分に知識を持つことが重要です。
個人売買に臨む場合、クーリングオフ制度がないため瑕疵担保や契約に疑問がある場合には、訴訟に発展するリスクもあります。安全な不動産売買を成立させるためには、手数料は発生するものの宅地建物取引業に依頼をして効率よく成立させることもおすすめです。
万が一の際にはプロの宅地建物取引業者がトラブルにも対応してくれます。なぜ手数料が発生するのか、と考えると消費者トラブルを回避してくれるという側面もあるのです。不動産売買に臨む場合には売主・買主双方がクーリングオフについて熟慮してから臨みましょう。
まとめ
この記事ではクーリングオフと不動産売買についてお送りしました。クーリングオフ制度は幅広い商取引に対応できる消費者目線の制度です。適用に関して疑問がある場合には、契約をする前に売主・買主のいずれの立場にあっても確認を行うようにしましょう。なお、契約後は8日間とされるリミットもあるため、早急に消費者センターや法律の専門家に相談することがおすすめです。